2000年代以降は大阪府内でも都心回帰が進んでおり、特に大阪都心6区(北区・福島区・中央区・西区・天王寺区・浪速区)では今も人口が増え続けている。ただし、この6区すべてが住みやすく治安の良い場所かというと、残念ながらそういうわけでもない。
浪速区について
特に浪速区は人を選ぶ場所といってもよい。日本一治安の悪い街としてまさに全国区となってしまったお隣の西成区との連続性がとても強く、両区内を徒歩でウロウロしていてもその空気はほとんど変わることがない。それが、西成・浪速区と右隣の天王寺区となると、その標高差もあって景色が一変するから何とも不思議である。
もっとも、新今宮駅を中心とする新世界から飛田・釜ヶ崎(西成区)にかけてのエリアは、世界でもここでしか味わえない魅力のある場所であることは確かである。観光客の数も年々増えている。新今宮駅周辺は星野リゾートの参入や中華街の構想など再開発も予定されている。転入率・転出率が最も高い区でもあるので、目的によっては住みやすいエリアとなるかもしれない。
浪速区以外の都心6区では
狭い浪速区の中でもJR難波駅から桜川駅の一部のエリアはファミリー世帯用の高層マンションも多く、そこから福島駅と野田阪神駅にかけての西区東部・福島区東部のエリアは、高層マンションやオフィスビルが建ち並ぶ大阪有数の人口急増エリアとなっている。また、天王寺区から中央区東部、北区東部と続くエリアも同様。
これらの中からできるだけ客観的に一つ選ぶとすれば、四天王寺や生國魂神社などの神社仏閣、天王寺公園や真田山公園などの自然がバランスよく配置され、難関中高が複数所在する市内屈指の文教地区としても知られる天王寺区ということになるだろうか。西区と福島区も治安が良く、ミナミやキタへのアクセスの良い便利な区ではあるものの、歴史・文化的な面から教育面での天王寺区の優位性は抜けていると考える。
都心6区以外では
キタとミナミに次ぐ大阪第三の繁華街でもある天王寺・阿倍野エリアは、ここ数年で、あべのキューズモール(2011年)、あべのハルカス(2014年)、てんしば(2015年)など大規模な再開発が実施されており、阿倍野側のわずかなエリアだけでも必要なものが揃う便利な街となった。阿倍野区の住宅地は治安も良く、地価も天王寺区ほど高くはないので広くおすすめできる。
その他には、都心6区に準ずる都島区と淀川区もキタへのアクセスの良さから人気の区となっている。都島区はベルパークシティやセントプレイスシティなどの高層マンション群にファミリー世帯の移住者が多く、淀川区は大阪の玄関口・新大阪エリアに単身世帯の移住者が多い。生活するには少々さびしい街となっているこの新大阪エリアも、お隣の十三や淡路(東淀川区)を含んだ大規模な再開発が予定されている。